行方不明だった温劇�釜a田社長の突然の来訪には私も聊か驚きました。唯、元気にて余り気にも掛けていない風で、此方も詳しくは聞かぬ事に致しましたが、世話を掛けていると言う思いは感じ取れました。彼が関大卒で有る事から石原U氏も関大卒であるのを想いだし、元気を付ける意味もあって引き合わせる事を考えました。未だ温劇�鰍ﾌ社長であり、通天閣観光の取締役と石原Ｕ氏の了解を取った上、一月末、道頓堀浪花座裏の料亭”まつもと”（娘さんは確か三橋美智也と結婚）にセット致しました。

石原氏は関大でも名の売れた人でしたからか、和田社長とも杯を重ねる毎に意気投合し、��好し、俺があんたの通天閣株を引き受けよう″と断言し挙句に酔いも有って石原氏が��おい兄弟、これを遣る″と云って腕に嵌めていたローレックスの時計を外して和田社長に渡す位に酔て居りました。時計は翌日、和田社長から私に返却されましたが、石原氏は、これは奥さんの女優ＳＨさんからの贈り物とかで恐縮して居りました。

 

石原“ｕ氏”の事を少し記して於きたいと思います。戦後、大阪ミナミに軍隊帰りの若者や、あぶれた若者、学生を中心に集団が出来上がり、藤村唯夫と云われる人を中心に南道会と呼称する集団が出来上がった不良大学生等の集まりを“学生ゴロ”と云いつつ、組仲間に組み込まれて行ったと思います。彼は藤村組長の子飼だった？と聞いていますが、妬みか或いは恨みからか、誰とも解らぬ者に闇討ちされ、顔正面を斜めに斬られ12針程を縫った跡が有りましたが、その頃は良く見なければ分からない程に綺麗に手術されていました。

以後、藤村組長が神戸、Y組と合流した後、U氏は 会社の隆盛と共に、組織集団から離脱して外国に暫く行っていたのは前にも述べましたが、帰国早々にY組の影響からか芸能社を立上げ、大阪サンケイホールにて多くの有名芸能人を集め芸能祭を盛大に催していました。

斯様な関係からか当時、有名に成りつつ有った俳優の鶴田浩二氏とは特に親交があって、後々に時の大阪府知事選挙の時、票読みをすれば、佐藤陣営が危ないからと、高槻の府議で石原氏の学友から��何とか鶴田浩二氏に応援演説を頼んで欲しい″と事務所に駆け込まれて、私が東映撮影所に電話を掛け、東北巡業に出ている事を伝え、場所を聞くと直ぐに電話し直接話されているのを目の当たりにして居ります。

結局“巡業中で出れない。俳優ＯかＡなら行かせるが”と遣り取りが有って“そんな奴では駄目や”と成り実現せず、結局知事選では黒田氏に小差で敗れました。その折の選挙参謀の票読みと言うものは本当に良く見えているものだと感心した覚えがあります。

鶴田浩二氏もその頃には良く頼まれて右翼並みの講演を各地で行って居りました。

1962年、石原Ｕ氏は松竹の女優HＳと結婚されていますが、その結婚式の様子が第126回国会の予算委員会に取り上げられ、記録第10号（平成五年二月十七日、水曜日）に詳しく記載されています。

竹下登氏が証人喚問されて、昭和63年当時、総理大臣兼大蔵大臣であった時代、皇民党事件に始まり、佐川急便と金丸事件、旧平和相互銀行と秘書の故青木伊平氏の関連等を小杉隆理事から質問され、続いて社会党仙谷由人に代わり、楢崎弥之助議員が関連質問致しました。

 

Ｆ車両�鰍ﾌ創設者石原元社長が島根県出身の関係からか、東京での会社経営時代から竹下登氏と石原Ｕ氏とは親密な関係に在って、女優ＳＨさんの結婚式にも竹下登氏が仲人になり、Ｙ組傘下の組長以下が出席し、ホテルには部外者を一切入れなかったとか、出席のＳ組長と兄弟分の杯を交わしたとかを追求されて居ります。

 

では如何して和田社長との席にて通天閣観光�鰍ﾌ株式を引き受けようと話したのか？それには事情があります。又々、石原Ｕ氏のうちわ話に成り申し訳ありませんが、資金の事柄でも有りますので・・・・・

石原Ｕ氏がミナミで放蕩時代に付き合っていた女性との間に双子の子供さんが有りましたが、結婚をせぬまま彼女はクラブのママに成り、大きく成長させて行きますが、子供さんはＵさんが女優さんと結婚する為か、責任上か、Ｆ車両�叶ﾎ原社長の養女に成られていると聞いています。

このママはこの前年、昭和４６年１２月中旬に、繁盛していたクラブ（15〜6名の女性）を更に大きくする為に八幡筋の東へ移動し新クラブを開店します。私も石原Ｕ氏共々呼ばれて参りましたが、前の店の倍位の規模にすると聞いていましたが、店の広さ、女性の数等を見て三倍くらいの規模になっていてお客も多く盛況でした。

併し、この盛況さがママを悩ませたのか、原因はハッキリしませんでしたが、１２月２５日に自殺いたします。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

続く