30年余り前に娘と２人で行ったパリ・ローマの旅がすっかり私を虜にしてしまった。

以来　毎年のようにヨーロッパの国々を高津の同級の友と、ある時は絵の仲間と訪れるようになった。

 

同級だった小豆澤愛美子さんが　朝日カルチャーやスケッチのサークルで絵を描いていることを知り、その後彼女とはフリータイムの多いツアーを探してスケッチを楽しみ、それぞれ別の作品展に出品してはお互いに批評し合い、その旅を振り返ったりしていた。

現地のレストランでの注文や、ホテルのバスタブのトラブルの時も彼女は英会話ならぬ絵会話でクリヤーし、絵は万国共通語であることを証明したのも楽しい思い出になった。

　２００７年５月　彼女とその友人との３人で行った、かねてより念願だったクロアチア旅行が最後の海外旅行になるとは誰もが思いもしなかった。

 

　相前後して　ともに夫が体調を崩し、次第に介護に手を取られる生活が始まった。

海外は勿論のこと、妹夫婦と私達２夫婦での年に１〜２度の国内旅行もぴったり途絶えてしまっていた。

みんなそれぞれ夫の介護に専念する何年間かが過ぎていった。

 

　一人になった私達は、７〜８年のブランクの後、再び海外旅行に踏み出す気力、体力に自信が持てず国内に目が行くようになった。

やっと少し落ち着いて　今年６月に１８年前の南フランス　スケッチツアーで意気投合した佐賀県唐津の友人を８年ぶり、２度目の訪問をした。

そして１１月２日から２泊３日の水彩画家・寺田みのる氏とゆくスケッチ・ツアー「秋の吉備路を描く」に小豆澤さんと申し込んでいた。

ただ、その直前には、公民館の文化祭があって、他にも出かけることが続いて、その合間に旅行の準備もできていた。

ところが出発の前日になって私には珍しく血圧が急上昇、医師から出されていた頓服も効きがにぶく、すっかり自信をなくしてしまい、彼女と相談して今回は諦めることにした。

　今まで計画していた旅行や約束の外出なども自分の体調不良でキャンセルしたことは一度もなかっただけに、いつどんな変調を来たしてもおかしくない80歳を越した自身を否応なしに自覚させられた。

無理の効く年齢ではないことを忘れず、あまり根を詰めてすることは避けて、ゆったり　ゆとりのある過ごし方を心掛けたいと身にしみて感じた。