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お互いこの歳になりますと、寄れば病気、介護、医療、別れといった話に事欠かないのには、うなずいて頂けると思います。
或る統計学者曰く「世界で一番正確な統計は人間の死亡率である。１００％。」 「そんな”雨の降る日は天気が悪い“みたいなアホな事言うな」と一笑に付したものゝ、次の瞬間ハッとお前も死ぬと言われてるんだと我に返り、それから妙に考え込んでしまうのも歳の所為でしょうか？生・老・病・死 四苦を何故か身近に感じる今日この頃ではあります。
平成２３年６月１９日 朝１１時 電話が鳴りました。
「こちらは救急車です。奥さんが歩道でガソリンスタンドから出て来た車と接触、転倒、頭を打たれたので、豊中病院へ向かっています。ご主人さんも直ぐに行って下さい。」
診断は外傷性硬膜下血腫、クモ膜下出血。即刻その日の夜中に４時間に及ぶ手術、一命を取り留め１０日後にやっと覚醒、２ヶ月後リハビリ病院へ。其の後東京へ移り介護生活送るも、脱水、感染症、肺炎で入退院繰り返し、今尚入院中。
書けばたったの数行ですが、これが４年間苦難の足取りです。
普段はめったに通らない歩道を、しかも目的地とは逆方向に歩いてスタンド前に差し掛かり、出て来た車に接触、転倒したもので、あと１〜２秒どちらかにずれておれば、避けられたものだけに何故こんな事が起こったのか、本人は全く記憶がありませんので、真相は未だに藪の中です。
神の仕組んだイタズラとしか答えが見つからないのです。
入院中のある日警察から電話が掛かって来ました。
「今回の事故は、車の進入が禁止されてる歩道上なので、理由の如何を問わず１００％車が悪い。ついては刑事罰を科す事になるが、禁固刑と罰金刑があり、ご主人の心情としてはどちらを希望されるか意見聞かせてほしい」 と言うのです。
余りに急な話で返答に窮しましたが、事故の相手は４０前の真面目そうな男で、二人子供の居る一家の主でもあり、今更牢屋に入って貰っても家内の身体が元に戻る訳でもないので、結局よく分からないからお任せする事にしました。
後刻通知あり、前科一犯、罰金刑７０万円と記されていました。
よく歩道を我が物顔で走る自転車を見掛けますが、歩道は、車は進入禁止、自転車は例外的に認めるが、危ない時はすぐ止まれるスピードで走る事と規定されています。最近自転車事故が多発していますが、歩道で人をあやめますと一生を棒に振る事になりますのでお子達やお孫さんに充分注意してあげて下さい。
今日はこれを言いたかったのです。
私と家内が何故一時大阪の箕面に居たかは以前にも話しましたが、娘の看病の為でした。大分回復してましたが、家内の事故のショックと今度は自分が看病に回った苦労もあり、阪大病院で診て貰っていた脳の病が再発し、２４年１１月私達を置いて逝ってしまいました。
逆縁ほど本当に辛くて悲しいものはありません。
神のイタズラどころか、神に見放されてしまったのです。
人間が神に見放されると如何なるか？
ここ４〜５年映画、演劇、お芝居、ドラマ つまり虚構や作りごとは、どんなに価値があるものも一切観なくなりました。どんなに立派な作品もそれが作り物である限り、自分の厳しい現実には及ばないと思えてしまうのです。
これって一体何という心の病でしょうか？
同期には優秀なお医者さんが沢山おられるので、是非診断して貰いたいと思っています。何とか私を救って貰えないでしょうか？。
拙文を終わるに当たり、箕面に居ます時、藤本さんには介護の先輩として色々アドバイスを受けました。有難う御座いました。
又、今年２月には“高津歩こう会”の仲間だった野田さん、長谷さん、松原さんがこんな私を励ましてやろうと、わざわざ成城まで出掛けて下さいました。ここに改めてお礼を申し上げます。
帰りの道すがら、世界の指揮者 小澤征爾氏と息子さんで俳優の小澤征悦氏に出会いました。皆でご挨拶すると気軽に応えて下さいました。神の善意のイタズラのお陰で、ささやかな手土産にして頂けたと思っています。
お付き合い有難う御座いました。
以 上
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