人気なき寺に華やぐさくらかな　　　塩田亘子 散り始め葉も出始めし桜かな　　　　松浦武子 夕明かり花満開に夢心地　　　　　　今井由紀子 ゆらゆらと落花の舞に鯉騒ぐ　　　　久貝貞子 吟行の出鼻を挫く春の雨　　　　　　浅香さとみ 花を待ち成るに任せる老いの日々　　今井由紀子 湯上りの素顔を覗くおぼろ月　　　　塩田亘子 今、造幣局の桜の通り抜けをやっている。何度か以前に行ったが、埃っぽくて嫌になる。ＴＶの映像で見る方がいい。それに今 八重桜の句を創っても、五月が来れば古臭くなる。成るべく季節を先取りするのがベター。気をつけたいと思う。
五期俳句会第百五十二回　四月七日 　あまりにも桜が早く満開になり過ぎて雪の山へ遊びにいっていた私の句は三句のうち一句しか出さなかったが、それも採って貰えなかった。急きょ春の句を創ってあわてさせられた。 又、浅香さんが、来られたが、急に用事が出来たので、出句のみで帰られた。 春日和宇治の川面の波あらく　　　　　塩田亘子 陵の緑深みて松の花　　　　　　　　　今井由紀子 ため口の牛乳屋来る四月馬鹿　　　　　浅香さとみ 平等院朱色鮮やか春に映え　　　　　　塩田亘子 青山椒そえて筍とどきけり　　　　　　久貝貞子 大川に水滔々と桜花　　　　　　　　　今井由紀子 瀬戸内は霞かかりて島みえず　　　　　松浦武子 芽柳の薄き緑が風にゆれ　　　　　　　松浦武子 囀りに息災なりと我が答　　　　　　　今井由紀子 旅心しきりなるかな花便り　　　　　　浅香さとみ 春雨に定刻の鐘寺の町　　　　　　　　塩田亘子 春の空飛行機雲の長く伸び　　　　　　松浦武子