水嵩の減りて川辺の草紅葉　　　　　今井由紀子　 さらさらと川面に浮かぶ落葉かな　　久貝貞子 節約と浪費ないまぜ年用意　　　　　浅香さとみ 湯豆腐の口どけ優し宿の朝　　　　　松浦武子 驟雨すぎ枯れ木にからす止まり来る　塩田亘子 　俳句はやっぱり何処かへ出掛けないと中々出来るものではない久貝さんの夕日が生駒に沈むのはおかしいと言ったら、奈良から見たものだと言われた。私は丹後へかにを食べに行ったが、 かには春の海辺で遊ぶ磯かにの事でこれはうっかり使えない。 難しいものである。
五期俳句会　第百四十八回　十二月二日 　 一応五人とは言え全員揃う。季節がややこしいので、まだ秋のような、でも立冬を過ぎているので本来冬になるが、今紅葉真っ盛りなので、句創りは難しい。ま、先生もいない会のことむずかしい事は抜きにして、楽しく始める。 柘榴の実メインディッシュを彩りて　塩田亘子 廃屋の塀にからまる蔦紅葉　　　　　松浦武子 菊枯れて老人ホームへ友行きし　　　今井由紀子 銀杏葉の黄金の道の明るさや　　　　塩田亘子 冬の夜深き濃紺銀の月　　　　　　　松浦武子 立冬や分身の爪切って捨てむ　　　　浅香さとみ 木を愛でし散りても赤き楓かな　　　今井由紀子 いにしへの龍田の紅葉今如何に　　　久貝貞子 柊の花咲き初めて香の仄か　　　　　松浦武子 後始末いやと言いつつ秋刀魚焼く　　今井由紀子 稲荷山もみじに勝る朱の鳥居　　　　塩田亘子 木枯し一号吹いて偽装の話など　　　浅香さとみ