岡山県赤磐市 中西 卓
過ぎた24年間 岡山市の郊外に位置する1万8千人足らずの住宅団地に住んできた。リタイア後の様々な仕事と環境活動などを通じて得たことをふりかえって、地方での暮らしを同期生仲間に伝えようと思う。言うまでもなく私自身の特異性があって、これが一般像と解さずに読んでいただきたい。
まず、地方自治について： 都会住まいでは考えられないことであるが、行政と議会が身近で市長や議員に接することができる。だが自分や仲間の提案が実現することは殆どなく、がっかりすることが多い。受ける側の知識・経験が乏しくて提案を正面から受け止められない、住民よりもコンサルが頼りだからではないか。厄介なことに関わりたくない、担当部署のローテーションを無難にこなせばという習性によるかもしれない。プラントの実務経験からごみ処理施設計画にもの申しても無視する。小・中学校に設置された太陽光発電のデー タとりを手始めに環境教育を提案しても「カリキュラムにないから」と教委がとりあげないなどである。今 市内の多くの池に太陽光発電を設置する案件が他所の業者から持ち込まれるのについて、行政の対応次第で仲間と反対運動を考えている。渡り鳥や魚の生態に影響が必至で、身近の景観を損なうことも目に見えているからである。
市長・議員を選ぶ住民の意識が問われる。市の人口4万4千人の4割近くを占める当団地族の意識もである。老人クラブは百歳体操の一方で 呑むのとカラオケに熱心で、自治や住環境に関心がない。然るべき仕事をして都会から越してきた人が多くても、高齢になればそうなのか。自分が“変人”なのかもと思ったりする。
次に、自然環境について： 直線距離6㎞ほどに信貴生駒の山なみを小さくした形の山が目の前にあり朝夕の陽光で変わる眺めがすばらしい。閑をみつけて近くの集落にある小高い鎮守の森を縫って歩くのも飽きない楽しみだ。団地内の近隣公園にサッカーグラウンドがあって、そこでの月水金のグラウンドゴルフは”ゴルフ“と似たゲーム性と広い仲間と交流できる良さがあり、Excelでスコア記録を引き受けている。山と川、田畑と果樹園、散在する池など豊かな自然について、別の折に述べたい。
私が周りの団地人と違うのは、初めの3年間「岡山農業公園ドイツの森」で建設段階から造園の仕事に携わったことである。夏の炎天下と真冬の凍てつく寒さが厳しかったが、青空のもとでの仕事はかつてないことだった。花の担当だったが土壌がこなれてなじむまで生理障害（県の指導員は“根腐れ”をこう呼んだ）に苦労した一方、当時のLOTUS-123で 植え場所、花の種類と色、数を計画して発注したのは現役時の経験が役立った。樹木、果樹、芝など担当の仲間との付き合いは新鮮で彼らの方言にも抵抗を感じなかった。中山間の田畑は土壌・陽当りが集落ごとに異なるので、植え付け品種と時期に研究熱心で彼ら農家どうしの情報交換に聞き耳をたてた。農機の運転、道具作り・修理の器用さに加えて市場をにらむ経営感覚に「百姓さん」への認識を改めた。
次は これまで私が参加してきた活動の主なグループであるが、今も続けているのは7,8,10だけ、9,10は地元赤磐市の団体である。
1.おかやまエネルギーの未来を考える会
2.RACDA (都市の未来と路面電車を考える会)
3.岡山の緑と水と空気をまもる連絡会
4. Information（ローカルな環境情報）
5.岡山県小水力利用推進協議会
6.岡山市エコ技術研究会
7. 岡山県ユースホステル協会
8. みどり岡山
9. あかいわエコメッセ
10.あかいわ美土里の和
これらグループで接する仲間は多才で、地域と世代、社会の地位をこえた情報にふれることができる。RACDAでは、和歌山で人気をよんだ猫駅長発案のＩ氏（岡山電気軌道役員）、外務副大臣Ａ氏らが会員であるが、本業を離れた活動（JR吉備線のLRT化など）に注目したい。それぞれ岡山支局長だった朝日M、毎日Ａ氏と親しいが、紙面とは別に記者気質の違いがわかっておもしろい。Ｍ氏とは泰緬鉄道のタイへ、Ａ氏とはヨーロッパのフライブルクなどへ環境ツアーの連れだった。他と趣きが異なる７は、自身が内外の旅にもっぱらユースホステルを利用していて学生も交えた楽しい情報サロンである。
地方暮らしに旧友がどれほど興味をもってくれるか、これまで何とかやってきた自身の軌跡を読んでもらうだけで結構です。多くの方からご感想をいただければ幸いです。（内容に不明な点が多いと思いますが、何なりとメールなどでお問合せください。）
次第によって、折々発信してきたもの（次にその案を示す）をHPに載せることができればと思っています。
・エネルギー雑感
・ごみ処理広域化と溶融炉問題を考える
・赤磐市の新しいごみ処理施設を見学して
・太陽光発電を考える
・里山と保健保安林
（以上）