０７．０５．１９

　　　　　　　　　　　庄野　潤三のこと
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長谷　聖一郎　　
　
    野田さんの庄野論を頷きながら読みました。
　”老人小説”とは、言い得て妙ですね。同感しました。
　小生は、新作『ワシントンのうた』を昨年の「文学界」の連載で読みましたが、その動機は、
この作家が父やワイフと同じ住吉中高出身ということでした。
　読んでみると、はたして小生が生まれ育った住吉界隈、馴染みの帝塚山・北畠から天下茶屋
方面のほか、作品に度々登場する次兄の進学した関学（小生も卒業）のことやその周辺の街々も
舞台になっていて、地縁＋学縁の懐かしみをふんだんに味わいありました。
　野田さんの仰るように、登場人物は善人ばかりで起伏も筋書らしきものもなく、私小説だか随筆だか
良く分からないままに読み終えてしまいました。
　しかし、読後感にはなにか穏やかで心温まるものが残りました。
　それで、続けて「夕べの雲」を図書館で借りて来たような次第でした。