０８．０７．１９
第八十四回 高津五期俳句会
平成二十年七月七日
竹尾 嘉文 選
山寺や旅人癒す梅桃 和田 冨美子
背延びしてなほ高きかな立葵 村島 栄三
語り合ふ土手の若人夏の川 塩田 亘子
瑠璃鳴ける方へ向かひて森を行く 松浦 武子
忘れえぬあの日出合ひし夏の川 西本 敏子
笹ゆりの香に導かれ尾根辿る 松浦 武子
青田縫ひ汽車は信濃路ひた走る 上島 晃子
梅雨の湖弥陀も籠りし浮見堂 塩田 亘子
アルプスの雪渓ながめ初夏の旅 久貝 貞子
さくらんぼ供へて追慕母の顔 塩田 亘子
トンネルを出づれば眩し夏の川 上島 晃子
あぢさゐに似合ひの雨や今日もまた 平林 友一
さくらんぼその艶孫の唇に 今井 由紀子
口元に思ひ出運ぶさくらんぼ 和田 冨美子
子かまきり細き葉先で風まかせ 小田 一栄
鳰の子や小さき水尾引き泳ぎをり 松浦 武子
空梅雨や雨を待ちゐる庭の木々 飯田 昭子
夕薄暑多き荷物の帰り道 小田 一栄
子育てに終日励む親燕 村島 栄三
夏帯を結びつ姑を偲びけり 上島 晃子
鉄橋の下たうたうと夏の川 上島 晃子
梅雨の夕寂しき歳を思ひをり 今井 由紀子
緋ぼたんのはらりと終る生命かな 塩田 亘子
並べられ器量を競ふさくらんぼ 小田 一栄
花よりも実の美しきさくらんぼ 村島 栄三
あぢさゐの葉裏に見つけ蝸牛 西本 俊子
渕目掛け飛び込む子等や夏の川 松浦 武子
笹百合の咲いて売土地荒れるまま 西本 俊子
被災地の夏の川色濁りゐて 浅香 さとみ
梅雨晴間お遍路さんと道連れに 平林 友一
四天王口もとやさし半夏生 飯田 昭子
朝もやに神島はるか初夏の海 塩田 亘子
夏はじめ野辺に佇む道祖神 小田 一栄
童らの声嬉々として夏の川 平林 友一
子かまきり歩く花びら揺れもせず 今井 由紀子
夕焼の野路を子供等帰り来る 飯田 昭子
夏空をカンバスにして飛行雲 上島 晃子
ビニールハウスにさくらんぼの紅透けて
浅香 さとみ
夏の川鮎釣り人の天下かな 和田 冨美子
見事なる壁画復元奈良の夏 久貝 貞子
ひっそりと薬効秘めて雪の下 西本 俊子
魚影濃し幼と渡る夏の川 村島 栄三
折れ方もいさぎ良きかな葱坊主 浅香 さとみ
背筋冷ゆ蝮横切る登山道 平林 友一
選 者 当 日 吟
滔々と中洲を洗ふ夏の川
白線となりて堰落つ夏の川
噴水の穂先に遊ぶ日差しかな
当日私用の為に句座に間に合わずご迷惑を掛けました。
後刻投句用紙で句を拝見選句しました。
少しだけ直させて頂いた部分もありますのでご了承下さい。
添削はまた次回にお渡し致します。