０７．０７．１３

                                              たった二日のヨーロッパスキーと色々初体験

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松浦　武子

　最初に今回の事で、多くの方にご迷惑とご心配をお掛けした事を、心よりお詫びと感謝を

この場をかりて申しあげます。

　少し見っとも無いので、書くのは止そうかとも思ったのですが、結構色々面白い体験を

したのでご披露します。

　　　　　　　　　　　　　   

                        宿の裏口横のお地蔵様風のマリア様と私


　宿泊は、バルトロナンシュという所で小さなホテルが多い所、スイスとイタリア

の国境のイタリア側にある小さな町で、もうスキーやスノーボードの基地。

ビックリしたのは、リフト券、スイス・イタリア共通で使える、それにシニアも

あり約３０％引き（パスポートを見せる）、日本人も多く居てここで貸しスキー店

を経営したり、ガイドの資格を持っている人なども多い。

　初日はゴンドラ・６人乗り高速リフト２本・雪面にスキーを着けたままで円盤を

お尻にあてて引っ張って貰うリフト（これは慣れないとこける）を乗り継いで、

一旦最も上のゴンドラへ、これは４０００Ｍの国境まで上がる。ここから隣の

チェルビニアスキー場へ滑り降りる、お天気も良く景色は抜群、快適なスキーを

楽しむ。



                              

                                    イタリアとスイスの国境標示 

　２日目は、やはり国境まで上がり分岐点からスイスのツェルマットまで滑る、

この日も快晴で、シュワルツゼーのホテルまで下って昼食、その後下るに従って

見る方角によって姿を変えるマッターホルンの素晴らしさに感激しつつひたすら

滑る。

下るにつれて所どころに起伏があり、登りの手前では思い切った直滑降を

しなければ登りきれないので、かなり足がくたびれているにも拘らずすっ飛ばす、

しかしそれが災いしてもうゴンドラの乗り場近くになって山を越した直後に転倒、

そんなに酷い怪我とも思わなかったが、すぐにスイスのレスキューが来てくれ、

ウエアーの上から固定してくれ、スノーボートを手配してくれる。

５０年のスキー歴で初めての経験、でもあまり痛みもなく担架でゴンドラに

乗せられ国境まで、ここでイタリアのレスキューに引き継がれ、スノーボートで

下る、然し不思議にも痛みは全く無く途中眠ってしまう、ガイドのお兄さんが

追いついてきて起こされて気が付くとボートは止まっていて、横に外国人の方が

真っ青な顔をしてぶるぶる震えている、ガイドの話では彼はかなり重症とか、

もう一台スノーボートを呼んで一緒に下ろされる。チェルビニアに着いて、彼は

担架・私は車椅子で車で運ばれた先はヘリポート、

  彼は即ヘリで運ばれて行った。そして私は診療所へ、レントゲンを撮られ

骨折が判明、石膏で固められる、でもそのままほったらかされて医師は

別の部屋へ、？と思いながらドアの隙間から見ると何か知った顔がある、

ガイドが｢あっちの方が急を要する｣との話、同じツアーの人が高山病だと

のこと、国境は４０００Ｍだったからで、彼は応急処置の後ヘリでミラノの

病院へ運ばれて行った。

　その日は一応ホテルに帰り、翌日診療所へレントゲン写真と所見を貰いに行き

詰め込んだトランクと共にタクシーでトリノの病院へ、診療所まで付いてきた

添乗員はホテルで降り｢通訳がむこうで待っているから｣と一人になる、

もうこうなってはケセラセラで運命に身を任せるより無い。

　無論何処をどう走ったかなど知るよしもないが、兎も角病院に到着、最初に

胸のレントゲンを前と横・心電図・血液検査と足と関係の無い事ばかり、後で

気が付いたが高山病を懸念しての事、そして手術室へ下半身麻酔の上施術、

病室へ帰ると通訳の方が来ていた。彼女は日本語学校の先生で毎日夕方に来て

くれるが昼間は一人、宮部みゆきの文庫本を届けてくれ、時間は潰せる、

看護婦さんとは片言の英語でおしゃべり、呼ぶのは押しボタンで、用を足して

貰った後は「グラチェ」だけ、何より嬉しいのは病院食とは言えイタリアンだ、

小いかのリゾット・海老のレモンソースなど一番美味しかったのは、ソーメン位

の細めんのスープ、兎も角毎回フルーツも付き滞在したホテルより美味しかった。

　海外旅行保険と言うのは何時も掛けてはいるものの今まで殆ど利用した事が

無かったけれど今度ほど掛けていて良かったと思ったことはない、帰りの飛行機も

足が曲げられないのでビジネスクラスをとってくれて、ゆったりと美味しいイタリア

料理の機内食を味わった。幸いな事に全く痛みがなく、貴重な経験をさせて貰った。

　大阪へ帰ってからの病院生活は、同級生の皆さんや山友達ジム友達のお見舞いを

頂いて病院食は美味しくないものの、結構のんびりと本の差し入れなどを読んで

楽しく？過ごすことが出来本当に有難く早い快復となった。

                        イタリア側のマッターホルン（イタリアではモンテチェルビーノ）

                                           

                                                 シュワルツゼーのホテル前からのマッターホルン


                                                   

                                                              少しツェルマットの方へ下った所からのマッターホルン