12.01.28
リレーエッセイ
野木靖夫 → 早川徹 →
中川進三君が亡くなったことから
額田 晃作
蘭陵王の鼻穴から白い息が吹き出る
古都の寒さをうらみがましく、なぜ夏にしないか、伝来の衣裳が
汗だらけになるからかな。
ＰＬの花火をバスケットの女性軍に見せる世話をしたこと。
その時は花札をするのが例とか、変なことは覚えている。
ない。宗教とう云う演出は歴史と云う裏付けを得て確固たる
伝統となる。二月堂の井戸は若狭と通じているから若狭井とか、
非合理が不思議と云う幕に閉ざされる。
ここまでは、昨週の木曜日に書いた。
早川君から１２月中に野田君に送るようと云われたが、あれもこれもの年末の
上に、上を下への大騒ぎの消化器病の反乱で真の寝正月になり、まとまった
「お絵描き」の時間が丸つぶれで、絵の単独合宿は「やっぱり歳か」を感じ
させる正月となった。しかし、モデルにやる気があるかを試すつもりで元旦、
三日と違う人を頼んでおいた。これは這ってでもいかねばならない。ヌードの
クロッキーは高麗橋の診療所の２階で高性能のガスストーブがものを云う。
画友たちは「おめでとう」と云わず、私が年を重ねることを拒否していると
いうことを知っているから・・・・。おとなしい作品を、モデルは女性的と
云う俺がねえ。どうしょうもない体調が私から遊離している。
このようなしょうむないことを書く時ではない。
月曜日に山本健太郎君から「中川進三君が亡くなり（１月１９日）、金曜日
に家族葬が行われたようです」彼は上六を中心とした大きな自治会長で
敬語で話す習性があるのか、私も「おまえ、それだけはやめとけ」とも云えず、
まあ、しゃあないなと思っている。
すぐに中川君の奥様の秀子さんに手紙を書いた。なぜ道具屋店で育った彼が
グルメという食品会社に参加したのか、グルメと云うサンドゥイッチは群を
抜いてうまいが、そのあたりは聞かずじまいだった。
なぜ奈良へ引っ越して来たのか、体が弱っていたことは確かだが、歯の治療
には必ず奥様が一緒であった。
ギッチョンこと杉村君のお別れの時も会った。竹尾君も余分な肉を削ぎ取つ
た厳しい顔で参列していた。５期生俳句の宗匠が入寂したのは、その後、１年位
経った頃であつたか。
高津には、体育館が二面あった。東側の地下は食堂で白飯の弁当を皿に開け
てカレーをかけて貰う。それが１０円で私は一年きっちりそれを励行した。
高津で得た絵を描くことを今でも続けていることと私の脳のどこかで接点が
あるのかもしれない。
その上の体育館の入口に「国家のため、子弟のためこれを建てる」と
銘板がはめてあった。
その東体育館はバレーボールが練習に使っていて北側に体育教官室があり、
弱小の私のハンドボール部は部室がなく、教官室へボールや荷物を置き、校長
官舎の柳の下の階段で着替えていた。冬の寒さは格別であった。
西の講堂下にあった体育館がバスケット部の練習に使われていた。
南中から来た精鋭揃いで、中川君は一番長身で、今のゾロッと長いパンツ
ではないピチピチのラングのユニホームで反則すると手を上げてレフリーに
答えるマナーは他のスポーツにないものだが、一方の手で腋に手を当てるのは
腋毛を隠すためか、これも聞きそこなったことの一つである。
二面の体育館がある高校は他になかったのか。大会が開かれて五日制の私達
は強いバスケット部に声援を送った。中川君等はスポーツ選手として悔いのない
青春を送ったと思う。
私の大学の一年下の学年の１／３が亡くなっている。その記事を書いた人は何か
おかしいと云っているが、３／４世紀生きて来て体調不良を感じると一番悪い状態
に落ちいったと考えるの常である。低空飛行でどれだけ飛べるか、私は中年オバチ
ャンに私が長生きして、最後まで歯を治すからと云っている。東京の個展に奥様と
と来てゆっくりと絵について語ってくれた彼のコート以外の顔も今はなつかしい。