０８．０３．１４
童心にかえって遊んだ３週間
藤本 勇
今年の冬は寒かった。
築後４０年の我が家の朝は、まるで冷蔵庫並みの冷え方。ヨメサンは省エネと称して絶対太陽が高く
のぼるまでは起きてこなかった。やたら鍋料理が登場した冬だった。
カウアイ島にタイムシエアのコンドミニアムを１０年前に購入して以来、まっすぐに島に乗り継いでいた
のでオアフ島を全然知らない。今回は初めてワイキキに５日ほど泊まることにする。プリンスエドワード通、
ハイアットエイジェンシ−裏といえば聞こえはよいが、要するにユースホステル。レンタカーもやめて
オアフはバスで移動することにした。空港から街中心まで２ドル。やっぱりバスは安い。車内で日系の
おばさんが荷物は座席の下に入れるように、教えてくれ、お話をしていると、どこに泊まるの？と聞かれ
“ユースです”と云うとびっくりされた。おそらく老夫婦でバスに乗ってユースに泊まるような人は少ない、
ということか。いつもファミリールームで滞在していたが、ワイキキではドミトリーしかないそうだ。
部屋は５〜６人で一室。鍵のかかるロッカーもあり午後９時以降は玄関もロックされるので治安はいいようだ。
ただしアルコールはだめとか。
ワイキキは高層ビルが林立し、人間の数も大都会なみ。ビーチも人工的に造られイマイチの感。
ユースのお姉さんがJACKのオアフ一周ツアーがとってもいいよ、とすすめてくれたので、翌日参加する。
朝１０時にピックアップに来てくれて１２人位でバンに乗り込む。ドイツ人、フランス人、アメリカ人、
日本人と顔ぶれは様々。ワイキキを離れて東海岸を２０分も走ると美しい海が広がり、あのワイキキは
一体何やねん、と思う。元横綱の曙の生まれた村の近くのビーチで１時間ほど泳がせてくれた。真っ白な
砂浜が広がり家族ずれがバーベキューを楽しんでいる。亜熱帯原生林の緑の中、パイナップル畑を走り
夕方北海岸のサンセットビーチに到着。途中で買ったハンバーガーを食べながら落日を待つ。まるで
パイプラインのような大波が次々とおしよせサーファー達は見事に波に乗る。毎年１２月にはサーファー
の世界選手権大会があるそうだ。JACKはよく冷えたパイナップルをカットして皆にふるまってくれた。
快晴に恵まれ６時３０分実に美しい落日を見ることができた。
これだけで今回のオアフは十分。９時前にユースまで送ってくれ、これで一人３８ドルは安い。
他日はシュノーケルや動物園、博物館、水族館見物などですごす。ただしネットで購入した「バスの本」は
安かったが５年前の物だったので、運休になっているバスもあり、ヨメサンに叱られた。旅は最新情報を
持っていかんと。
２２日のアロハ航空の前でM夫妻と落ち合いカウアイ島に渡る。
レンタカーを借りて北に向かう。ヤシの木より高い建物は建てられないという、この島のルールが僕は
気に入っている。プリンスビル・リゾートは電柱も地中にうめられ、大きなゴルフ場が２つもあり気分も
解放される。２ベッドルームの部屋は、いつ到着しても、すぐに暮らせるように綺麗にクリーニングされ、
ほっとする。
ハワイ周辺の海に毎年１月〜４月の間ザトウ鯨がアラスカから子育てにやって来る。部屋のテラスから
リーフの向こうを通る鯨をあきもせず眺めた。今まではうっすらとしか見えていなかったが、２年前に
白内障の手術をしたので、実にはっきりと見えるようになった。
リーフを見下ろす崖っぶちに建つ私共の部屋は鯨見物の特等席だ。M夫人は双眼鏡で熱心に鯨を追いすぎて、
まるで船酔いみたいになったとか。
朝の気温は１８度、昼間は２６度くらい。いつも爽やかな風が通り抜けシャワーのような通り雨の後には
虹がかかる。今年は連日晴天がつづきでシュノーケルをよくした。M氏はすぐそばに大きな海亀がきたので、
しばらく一緒に泳がれたとか。ヨメサンは体長７０cmくらいのパロットフィッシュがいる、と騒いでいた。
僕は１５ｃｍくらいの白い魚が１５０匹ほど群れになって泳いでいるのを見た。
カウアイ島２週間滞在中、外食はランチにハンバーガーなどを３回ほど食べただけ。４人とも酒を飲むので部屋
での食事が安全。食材は豊富でカリフォルニヤ米、牛肉、まぐろ野菜、フルーツ何でもある。ファーマーズ・マー
ケットで買う、さんど豆やパパイヤは本当に美味しい。まぐろの中トロは赤身の半値。ヨメサンは料理だけは
イヤがらずに、よく何でも作ってくれた。特に夕方、外のジャグジーで身体をほぐしたあと食事の前にテラスで
飲むピナコラーダはここの気候にぴったり。ココナッツ風味のラム酒、パイナップルジュース、ココナッツミルク
、氷片をミキサーにかけてガァーとシェイクする。毎朝テーブルにはいっぱいの果物とヨーグルトが並び胃腸の
調子も快調。
オニギリを持参してカララウトレイルをハイキングしたり、ハナレイ川をカヤックで登ったり下ったりと
童心にかえって遊べた。お陰で４人共まるで漁師のように真っ黒に日焼けしてしまった。
３月８日に関空に着いてバスに乗ると大阪はまだ冬景色。
お隣さんや畑の仲間の差し入れが届き、久しぶりで鯛の昆布じめ、高野豆腐、菜の花あえ、ぜんまい煮物、
ワケギのヌタなどが食卓に並び、やっぱり日本のご飯は最高。友人に深謝！！
