０６．１０．１９

                                                    額田晃作さんの今年の傑作

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　野口　幹夫

      額田さんからの案内をいただいて伊藤公博氏と一緒に１０月１８日東京都

  美術展で 開かれた独立展へ行ってきました。

    作品の多さと色彩に圧倒されながら、やがて額田さんの絵の前にたちま

  した。

   遠くからも彼の作品だとわかります。アフリカの人々が描かれています。

  今年の絵は更に渋いかなと思ってみました。右手前に思い悩みながら牛の群れ

  の方向に強い視線を送っている若い男、上辺には何かを取り囲むように群がっ

  た女性の群れがいます。彼の絵にどこかに吸い込まれる穴のようなものを発見

  するのですが、今回の絵はこの女性達の渦の中心に何があるのでしょうか。


   額田さんが新人の作品を展示したコーナーにいました。何人かの画家に

  取り囲まれています。無遠慮に近付いて見ました。そこに展示された新人の人

  たちが、自分の作品について額田先生の見解を聞きだそうとしていました。

  二人の作品についての彼の意見が聞けました。二人とも抽象画で、一つは

  重々しい球が宙に浮いている絵で、もう一つは３枚の板のようなものが配置

  されていて、それに何組かの白い３本の流線が、絡んでいるような絵でした。

    額田さんは「いいではありませんか」とかいったあいまいなほめ言葉で

  なく、それぞれに意外にはっきりとした批評を与えていました。二人は

  ありがたくその言葉をいただいたようでした。「額田さんは権威なんだな」

  とわかりきったことをつぶやくと、伊藤は「やはり年輪だよ」とわかった

  ようなわからないようなことを言っていました。

    額田さんにこの絵のことを聞きました。果たしてあの若い男は、若者儀礼

  として牛の上を跳び越す挑戦を前にして悩んでいるところで、うえの女性軍

  は手に手に棒を持って祭りの群舞をしているのだそうでした。もう少し聞こう

  と思いましたが、待っていたように次の若い画家が寄ってきて挨拶を始めま

  した。