03.06.15
紫 陽 花 吟 行
平成十五年六月九日 宇治 三室戸寺
松浦さんが世話をして下さって紫陽花を見に行きました。薄日の差す
紫陽花日和。境内には約三十種類一万本の紫陽花があり山肌を埋めて
いました。
拝観の後、黄檗山門前の白雲庵で食事をし句会をしました。
竹 尾 嘉 文 選
老杉の天に延びゆく夏はじめ 小 田 一 栄
紫陽花の色とりどりに咲きこぼれ 上 島 晃 子
普茶膳の舌に滑らかぬなは汁 松 浦 武 子
鐘の音に泰山木の花崩る 岡 峰根子
朽ちさうな本堂かこむ青葉かな 塩 田 亘 子
鐘の音のひびく寺苑の蓮しげる 松 浦 武 子
浮舟の古蹟に添ひし濃あぢさゐ 岡 峰根子
み仏の前を守りし蓮の鉢 久 貝 貞 子
そよ風にしだれ桜の身をまかせ 上 島 晃 子
涼風を仏の恵みと受け取って 浅 香 さとみ
まだみどりのこる紫陽花何色に 松 浦 武 子
あぢさゐの碧の冴えたる木陰かな 岡 峰根子
うぐひすに迎へられたる三室戸寺 久 貝 貞 子
あぢさゐに圧倒さるる寺苑かな 村 島 栄 三
紫陽花のブルーうるはし宇治の寺 松 浦 武 子
鐘一打若葉の堂をふるはせり 岡 峰根子
睡蓮の水面ゆらすや錦鯉 久 貝 貞 子
若楓透けくる風の涼やかに 小 田 一 栄
紫陽花や眺め行く歩のゆるやかに 塩 田 亘 子
三室戸の森借景にさつき咲く 小 田 一 栄
蜂植ゑの蓮数多なる三室戸寺 浅 香 さとみ
薫風や空を舞台に杉木立 村 島 栄 三
勘違ひして遅れたる梅雨吟行 浅 香 さとみ
< 選 者 吟 >
浮舟の古き碑七変化
日翳りてあぢさゐ色を深めけり
あぢさゐや源氏ゆかりの古刹なる