２００２．１０．２１．

　　　はじめてのグリーン車で　　　浦安だより（２）　　　木村　芙紀子

　１０月５日、新大阪までグリーン車に初めて乗りました。
　９０歳になる一人暮らしの母が足首を骨折したので急に帰りました。
　ひかりの指定席は満席で、グリーン車にしました。

　名古屋から数人の男性が乗り、通路をへだてた隣の席に座ったのですが、それがなんと親分と幹部らしき人たちです。
　こんなに間近でみるのは、はじめてです。ダークスーツに真っ白のワイシャツ、地味なタイですが、手に持つ週刊誌は「週間実話」と「実話時代」。靴が変わっていてオーストリッチや爬虫類。
　親分は上着をぬいで週刊誌をよみだしましたが、隣席の子分は背筋をまっすぐに、飲食もせずにガードをします。
　車掌が検札にくると、子分はあごでついと後ろの座席を示します。そこには、黒の鰐皮の書類鞄をわきにおいた会計係りがいました。

　私はもう珍しくて、本をよむふりをしながらじっくり観察していましたが、この贅沢な御一行の資金源を考えると腹立たしくなってきました。
　私のところへ相談にくる多重債務者、サラ金・ヤミ金融におどされて夜も眠れない人たち、ワン切りの被害者たち、皇室の写真集を法外な値段で送りつける商法など・・・・

　グリーン車３台に夫々親分が乗っている様子で、神戸ででも会合があるのでしょうか。トイレにたつと子分がつきそい、ドアのまえに立って見張っています。

　なんとも異様な光景でした。