02.07.10.
高津五期俳句会 第十二回 平成十四年七月一日
竹 尾 嘉 文 選
瀬戸内へ旅情をそそる穴子めし 松 浦 武 子梅雨晴や仮名美しき書展なる 村 島 栄 三風鈴の音も馳走の夕餉かな 塩 田 亘 子くちなしの香りて墓参父偲ぶ 今 井 由紀子さみだれやくちなしの香に傘を上げ 久 貝 貞 子山里に人影もなく遠青嶺 小 田 一 栄バラ真紅外人墓地はたそがれて 岡 峰根子間に合った途端にどっと汗の噴く 浅 香 さとみ
選者当日吟梅雨ぐもりなき刀身の光かな
02.06.09.
高津五期俳句会 第十一回 平成十四年六月三日
竹 尾 嘉 文 選
雨あがり軒に光るや蜘蛛の網 今 井 由紀子
るり蜥蜴苔庭走り岩陰に 小 田 一 栄
荒磯にはまひるがほの紅淡し 岡 峰根子
餌をはこぶつばめ低空飛行なる 久 貝 貞 子
百円の老眼鏡や走り梅雨 浅 香 さとみ
朝ぐもり舟の水尾ひく志摩の海 塩 田 亘 子
潮だまり蟹と遊びし頃想ふ 松 浦 武 子
十薬の匂ひ漂ふ庭の隅 村 島 栄 三
夏日差し水面煌めく柿田川 小 田 一 栄
引込まる湧水の蒼山女二尾 松 浦 武 子
ふるさとのちぢみ蒲団や母在す 今 井 由紀子
残り潮ふなむし遊ぶ夏はじめ 小 田 一 栄
鳥居越はるか二上に朝霞 村 島 栄 三
薫風や竹斑のうごきさまざまに 岡 峰根子
残り鴨揺らす水面の城の影 岡 峰根子
参道の木々のざわめき青嵐 塩 田 亘 子
霊水の湧き間にゆれる藻に蕾 松 浦 武 子
石楠花の花散り果てし室生道 久 貝 貞 子
鳥の声こぼれる小道竹の秋 小 田 一 栄
泰山木の花が目印道曲がる 浅 香 さとみ
天空に畑打つ人や県ざかい 岡 峰根子
岩肌に刻む仏や青葉風 久 貝 貞 子
島若葉真珠筏の浮かぶ湾 塩 田 亘 子
豌豆剥く天気予報は明日も雨 浅 香 さとみ
選者当日吟
ビールもてまづ久闊を叙しにけり
剥落の無人灯台卯浪寄す
夏潮にしなる釣竿磯日和
02.05.25.
高津五期俳句会 第十回 平成十四年五月十三日
竹 尾 嘉 文 選
谷渡りこだま消えゆく山の峰 村 島 栄 三
薫風や行く先きめぬ散歩かな 岡 峰根子
遠霞けぶるがごとき山桜 今 井 由紀子
売られゆく牛の涙や蕗の薹 村 島 栄 三
千年古る御堂に萌えの季節かな 岡 峰根子
かたつむり石に腹這ふ雨あがり 小 田 一 栄
流行遅れの黒い日傘で急ぎおり 浅 香 さとみ
散るさくら六十路にさみし想ひかな 塩 田 亘 子
貝寄風や結界くぐり堂に入る 村 島 栄 三
涼やかな風万緑を吹き過ぐる 今 井 由紀子
磯菜摘む乙女の足の白さかな 岡 峰根子
川風を腹いっぱいに鯉のぼり 小 田 一 栄
日々変わる深き青葉や古墳塚 今 井 由紀子
たたみまで染めて緑の深まれり 岡 峰根子
滝しぶき小さき虹の生まれけり 松 浦 武 子
店先によしず張りたる老舗かな 小 田 一 栄
花の旅いこいの宿の国なまり 塩 田 亘 子
葉桜の木洩れ日ゆるる西行墓 村 島 栄 三
新緑や思いきり背のび深呼吸 今 井 由紀子
げんげ田や花輪つくりし頃ありき 岡 峰根子
悠久の甍に映ゆる若みどり 小 田 一 栄
菜種梅雨傘傾けてすれ違ふ 浅 香 さとみ
春愁やめぐる季節の刻速し 塩 田 亘 子
選者当日吟
胸元に風やはらかき更衣
マスト増えいつしか港夏に入る
湯気たてて匂ひをたてて売る粽