きな臭くなった鎌倉の空　　　　　　　　　　　　　　　　２００１．０９．１７．

安藤　義信

　去る９月１１日の朝は、台風１５号が鎌倉に上陸するとあって、些か緊張した。
　しかし風雨ともに大したことはなくて、ほっとしていたところ、夜の１０時になって大変なニュースが
飛び込んで来た。同時多発テロ事件の発生である。　お蔭で台風は何処かへ吹き飛ばされてしまった。

　その翌日から、鎌倉の空は昼夜の別なく、飛行機の騒音に悩まされる事になった。
　横須賀沖に停泊している航空母艦から艦載機が飛び立ち、内陸の厚木基地で、離着陸の訓練が
行われるようになった。鎌倉は横須賀と厚木を結ぶ線上にあるので、その往復の通路になる。。
　輸送機は高度の高い所を単独で飛ぶのでまだ我慢が出来るが、戦闘機は編隊で低空を飛び、
その轟音はすさまじい。新聞によるとその数は一日３００機に達しているという。

　真にきな臭い限りになってしまった。
　今回の事は、「報復」では解決しないだろう。
　イスラムの急進派にも、止むに止まれぬ事情があって、今回の事態に発展したのだろうけれども、
世界は今の所、彼らの声を聞こうとする姿勢にない。

　マスコミも冷静さを失い、高層ビルへの飛行機の突入や、ビル崩壊の映像ばかりを繰り返し放映し、
何時戦争が始まるか、その瞬間を待ち構えているばかりに見える。

　歴史は繰り返すで、何だか太平洋戦争が始まった時に似ている。
　折角秋の良い季節になろうとしているのに、真に困った事である。
　心なしか、今年の蟲の音は小さい。