０５．０９．０８
第五十回 高津五期俳句会
平成十七年九月五日
竹尾 嘉文 選
酷暑にもめげずに萩の咲きにけり 飯田 昭子
睡眠のリズム戻らぬ九月かな 久貝 貞子
里山を越えて押し来る雲の峰 今井 由紀子
○凛とした遺影に拝す初秋かな 小田 一栄
盆参り赤き夕日の浄土かな 和田 冨美子
○夜半の雨上がりて今朝の涼新た 松浦 武子
○朝日浴び送火を焚く親不幸 上島 晃子
神苑の梢に宿る残暑かな 村島 栄三
○朝露のはらりとあっけない別れ 浅香 さとみ
◎ちちろ鳴く無常無情の友の通夜 今井 由紀子
百歳の祝のばらにほほゑめり 飯田 昭子
白絣かけて秘奥に旅立ちぬ 久貝 貞子
夏ばてにつひ転た寝し朝の風呂 和田 冨美子
鶏頭をまぜし仏花のはなやげり 西本 俊子
○空蝉の未だ網戸に止まりぬ 村島 栄三
きらきらと瀬戸の夕凪夏暮色 塩田 亘子
水草に羽を休めし赤とんぼ 上島 晃子
盆の僧瞑想しつつ咳ばらひ 今井 由紀子
西日中まだ暖かき骨拾ふ 浅香 さとみ
○ひぐらしの声かなしくて渓暮るる 平林 友一
祭壇の笑顔に涙厄日なり 久貝 貞子
青空のキャンバスに描く鰯雲 塩田 亘子
夜も更けて夢のまにまに虫の声 和田 冨美子
遺作抱きつるべ落としの中帰る 浅香 さとみ
ひらひらとアルミの皿の鳥威 村島 栄三
芋茎むき指先染むる夕厨 飯田 昭子
茜雲好みし母に門火焚く 今井 由紀子
秋の暮れ友は黄泉へと旅立ちぬ 上島 晃子
似合はぬと思へどかぶる夏帽子 浅香 さとみ
秋の夜の万灯籠の幽玄美 飯田 昭子
甜瓜懐かしき味幼き日 平林 友一
孫かヘり自分の夏よごろ寝する 平林 友一
神棚を捨てし母なり終戦日 松浦 武子
川向かう影絵のやうに蛍舞ふ 和田 冨美子
初盆や母に聞きたき事多く 今井 由紀子
夜道行く足音包む虫の声 和田 冨美子
供養の日回り灯籠の薄明かり 小田 一栄
秋なすで食事の進む夕餉かな 久貝 貞子
八月尽宙に帰りし友悼む 上島 晃子
衝撃の友の訃報や秋愁ふ 塩田 亘子
夏講座あくびかくしてノートとる 西本 俊子
選 者 当 日 吟
○ 無常てふ言葉噛みしむ虫の夜
○遺されし絵に句に偲ぶ虫の夜
○露の世の真白き骨を拾ひけり
五期句会を立ち上げて呉れた岡 峯根子さんが不慮の死を遂げられました。.
今でも信じられません。病を克服されこれから人生を楽しみましょう。そうだあちらにも行きましょうと、うれしい計画を沢山作ってくれていたのに残念なことです。私達は峯根子さんの分も一緒に人生を豊かに送るようにしたいと思いを新たにしました。ここに深く哀悼の意を捧げます。 合掌
虫の道弥陀の浄土へ恙なく 嘉文
次回に皆様からの哀悼句を掲載いたします。O印は互選の時の特選句、◎印は二入の選に入ったものです。なお、今回は添削をしません。