04.06.03
成功だった一期一会同窓会
野 口 幹 夫
箱根湖畔キャンプ場での東京5期同窓会は終わりました。参加してく
ださった方々から「この会は楽しかった」「成功だった」とほめてい
ただき、まとめ役として喜びをかみしめています。この成功は大量の
作業を、喜んでこなしてくださった同僚幹事さんたちによるもので
すが、中心になった「一期一会ゲーム」の果たした役割が成功だった
こともあると思います。
公式の報告は写真を含めて別途幹事団の反省会とともに行いますが、
とりあえずこの一期一会ゲームについてその舞台裏を紹介してお
きます。
これは、最後までうまくいくかどうか、幹事団の中でも危ぶまれていま
した。それは少数の人の集まりを何回も会合を重ねるということの、
異様さでした。「時間がかかってしようがない。一堂に集まって一人
3分話していったら、1時間半ですむではないか」という意見もありま
した。それももっともでした。しかしこの方式の成功感を持ってい
る私は、意志を通させていただきました。幹事団が心配しながらも、
私を信頼してやらせてくれたことを感謝しています。
今回、30名の仮申し込みでスタートした組み合わせデザインでは、
全員の一期一会を行うためには、7回の集会が必要でした。しかし
午後2時半開始、5時半終了という時間の制約で、正式の集会は
4回と、その後夕食会と、宿泊室の組み合わせまでいれて、6回
しかできず、1回分が足りないままになりました。ですから最後
まで会えない方が4名程度は残ったのです。また逆に1回しか会わ
ないはずなのに、一部に同じ人に2度当たる例が出てしまいました。
それは当初デザイン組み合わせから、欠席者を抜いていくと集会者
の数のバランスが取れないケースがでるので、それの修正を加えた
ときのエラーがあったようです。このように理想的な一期一会では
なかったのですが、それでも、企画者の期待以上に盛り上がりました。
2回目の集会のあと、
1時間の休憩を宣言し
たのですが、どなたも、
ホール外の散策にも出
ようとなさらず、2回目
の集会の形のまま話を
続けられたので、
次の3回目の集会を30分繰り上げて実行に入ったくらいでした。
この一期一会の面白かったことを整理しますと、
@ 各集会で毎回違う方と会って、少人数でひざを交えて
話ができることです。これは大集会では絶対できないような心の
交流空間を作ってくれるのです。
A めいめいに持ち時間があるのが特徴です。ルールのない
集まりでは、一方的な話役と聞き役ができてしまい、聞き役だけ
の人は燃えません。ここではみなに「主役の時間」があります。
遠慮深い女性は時に「私にはお話しすることはないのですがと、」
前置きしてご夫婦の馴れ初めのことを話されたりすると、男性の
ビジネスの成功話より、しっとりと聞かせてくれたりします。
B 人生4つのエピソードを準備してくれるようお願いして
おきましたが、実際は、メンバーの話に釣り込まれて、自分でも
思っていないアドリブ話になってしまったりして、興に乗ってき
ます。集会では毎回違った人に出会うので、毎回同じ話をしても
かまわないのですが、そのようなマンネリには落ち込むことは
ありえないほどの、精神躍動がありました。
C 会を重ねてくると、次の集会は誰に会えるのかなという
楽しみが出てきます。そして全ホールが盛り上がりました。それが、
食事集会、食後の自由語らいの時間まで続き、次回も何かこのような
楽しい集会にしようよという声があちこちであがりました。
さてこの一期一会ゲームは、私の創作です。今回は2度目の試行
ですが、2度とも大成功でした。1度目は、4年前教会のリーダー
研修会の同窓会42名の集会で始めてやりました。1年間の経験を
交流をする目的でしたが、6名7回の集会を各回20分というスピ
ードでやりました。そのときも想定以上の盛り上がりが見られ、
この種の集会に驚きとともに「このような組み合わせはどうして
できるのですか」と聞かれたのですが、そのときは自分でも
うまく説明できませんでした。
今回これをやりたくて、この組み合わせを
理論的にももっと洗練させ
ようと、伊藤公博君の紹介
で高津のホームページにも
登場してくれた元IBMの数
学の専門家である6期生の
安田慶博さんに検討しても
らいました。
結果私の作ったアルゴリズムはそれほどおかしなものではないことが
わかり、後で紹介する方法で作ったのです。実はそれはどのような
人数でもできる一般解はなくて、たまたま最初にやった42名の
ケースは理想的な解を与える数だったのです。今回の24名は
先ほども述べたような妥協の解でした。今後安田さんももっと
いい方法を検討してみようと言ってくれましたが、またの試行で
再チャレンジしてみようと思っています。
はじめは不安のまま、この実験に参加していただき、結果は大変喜
んでいただき、創案者として喜びにたえません。またどなたかに
引き継がれて実験していただければ幸いです。以下は興味のある方
に検討をいただきたく、方法論を詳述します。
ゲーム「一期一会」の紹介
このゲームは、20〜50人程度の集会で、親密な会合とするため
に行うものです。
趣旨は、何回かの集会で、すべての人が、すべての人と、1回だけ、
顔を合わせるという目的で、考え出した集会形式です。
しかもそれは最小の回数で、人数は1度に集まって顔が見える数人
とすることが、条件です。
一期一会の組み合わせ原則
参加者数を縦横同数に近いマトリックスに配置する。
ただし縦の数は、横数より同数かそれより多くなければ
ならない。
行の数(縦の列に並んでいる数)だけの集会が行わ
れる。
第1回の会合は、自然に数字どおり並べたマトリックス
を作る。
このマトリックスの各行(横列)のメンバーによる集会
を行う。
次に第2回の会合のための配置を作る。
第2回以降のマトリックスは、横列の前回までに会った
数とその回にすでに使った数を除いて最少の数を入れて
行く。
この作業はマトリックスのサイズが大きいと、目視では
エラーが出て、大変困難でコンピュータープログラム
を作ってやる他ない。
そこで手作業で比較的に機械的に行なえる方法として、
次の方法をとった。
縦の第2列は2つずつ。
縦の第3列は3つずつ。
以下同じようにずらせて第2回の組み合わせマトリックスを作る
第3回以降の会合のための配置も同じ方法で作る、
第1列が元に戻るとき、各列を行に変えたマトリックスを作る。
これが最後の会合のマトリックスとなる
従って行の数プラス1が、会合の回数となる。
参加者の規模によって、12(3×4)、20(4×5)、
30(6×5)、42(7×6)のマトリックスを組むが、
中間値の参加者の場合は、空白者を入れて、1ランク上の数
にして組む。
一例;参加者30名(~36)
7回会議 1回 5名
第1回
g1 11 21 31 41 51
g2 12 22 32 42 52
g3 13 23 33 43 53
g4 14 24 34 44 54
g5 15 25 35 45 55
g6 16 26 36 46 56
第2回
g1 16 25 34 43 52
g2 11 26 35 44 53
g3 12 21 36 45 54
g4 13 22 31 46 55
g5 14 23 32 41 56
g6 15 24 33 42 51
第3回
g1 15 23 31 44 52
g2 16 24 32 45 53
g3 11 25 33 46 54
g4 12 26 34 41 55
g5 13 21 35 42 56
g6 14 22 36 43 51
第4回
g1 14 21 33 45 52
g2 15 22 34 46 53
g3 16 23 35 41 54
g4 11 24 36 42 55
g5 12 25 31 43 56
g6 13 26 32 44 51
第5回
g1 13 25 36 41 52
g2 14 26 31 42 53
g3 15 21 32 43 54
g4 16 22 33 44 55
g5 11 23 34 45 56
g6 12 24 35 46 51
第6回
g1 12 23 34 45 56
g2 13 24 33 46 51
g3 14 25 32 41 52 41x32が2度目の重複
g4 15 26 31 42 53 31x26 36x43が2度目の重複
g5 16 21 36 43 54
g6 11 22 35 44 55
第7回 宿泊
g1 11 12 13 14 15 16
g2 21 22 23 24 25 26
g3 31 32 33 34 35 36
g4 41 42 43 44 45 46
g5 51 52 53 54 55 56
最後はこのマトリックスに人名を割り当てるのですが、エキセル
の便利な機能を使い、数字を人名に置換する作業です。ひとつ
の会合にあわせて当てはめて全面置換をすれば簡単に人名簿
マトリックスになります。これが種明かしです。実は6回目
の集会で方法どおりやると、うまくいかないので、3の行を
逆転させてありますが、それでも3つの組み合わせで同じ人
に当たるケースが3回ありました。これは実施しないとすれば、
誰にも2度会わないが、しかし会えない人が4名残るという
答えになりました。これが今回箱根のケースの基本でした。
富士山も大歓迎。2日目、散策組の大湧谷
ゴルフ組も快調