04.02.22

     財 政 再 建 夢 物 語      原 靖 造


   新しい年に入り国会の論戦も始まっています。日頃は年金貰って
遊んでばかりいますので、たまにはこの国の行く末を考えてみても罰は当
らないだろうと思い、暴論の謗りを覚悟で書く事にしました。
 途中で“オモロナイ”と言う人はシャットダウンで結構です。

 

 「私の年収は450万円ですが、長年に亘る浪費癖の結果、有益、
無益を含め溜まった借金7,000万円。今年も金利180万円と支
出640万円で計820万円の出費が決まっています。不足分370万
円は勿論借金ですから、借金は増えるばかりです。

     年収が450万円しかないのに毎年640万円使う奴は大馬鹿と言

われても仕方ありません。この借金を返せる目途は全く立っていません
ので、事ここに至っては自己破産か、夜逃げか、一家心中しかありませ
ん。」

 

上の文章の 私⇒日本国、100万円⇒10兆円と読み替えて見て下
さい。
「国の歳入45兆円、歳出64兆円、金利など国債費18兆円、新た
な借金=国債発行37兆円、溜まった借金700兆円。」
そっくり国の財政となります。

 

一家計なら心中まで思い詰める借金を国の場合は何故そんなに大騒
ぎにならないのか?それは国民が親孝行で1,400兆円と言われる金
融資産があり、そこからどんどん借り込んでいるからでしょう。
    然し国民一人当たり約600万円と言う巨額の借金は、やがて
返さねばならない訳ですから、個人の家計の場合と同じ事で、その
深刻さが何故もっと認識されないのか不思議でなりません。

           赤信号みんなで・・・・・。と言う事でしょうか?

 

この借金を減らすには @使うのを減らす。 A税収を増やす。 B一
万円札を刷って埋めるしかありません。(Bは謂ゆる専門用語で言うパ
ラシュートマネーです。)

 

  何しろびた一文使わなくても金利を考えると、返済に20年は掛かる
と言う厖大な額ですから、事の重要性を認識している議員先生方も
歳出削減・増税を唱えようものなら落選確実ですし、第一自分の世
代、否子供の世代でも片が付かないものを、わざわざ落選するために
持ち出す馬鹿はいません。
   前回の衆議院選挙でもこの問題を真正面から捉えたマニフェストは
ありませんでした。

 

    では毎年30〜40兆円の借金を何時まで続けられるのか?
   1、400兆円あると言われる個人の金融資産は、一方で個人の借
金もありますから、1,000兆円位と踏んでこの辺りまで来た時、国債
を引き受ける財源が無くなりますので、国債が急落、金利が急騰して
財政が破綻への道を歩く事になります。
   財政が破綻したらどうなるか、今まで経験した事が無いので良く分か
りませんが、一万円札を刷って埋めれば借金は返せますが、その分円
の価値が下がり、物価上昇、金利急騰、大インフレで国の対外信用
失墜は700兆円どころの騒ぎでは納まらなくなるでしょう。
    従いこうなる前に決定的な手を打たねばならぬ事になります。

 

     手を打つに先立って何故こんなに借金が溜まったのか、誰の責任な
のか、についての現状や背景認識が必要でしょう。
    戦後の日本経済は廃墟の中から立ち上がりました。
  汲み取り式トイレが水洗になり、9時間掛かった東京―大阪は2時
間半に、道路もよくなり快適なドライブが楽しめ、医療保険のお陰で随
分助かった人もいます。
    この諸々の今ある成果、繁栄、豊かさに要した費用を700兆円余
分に使い過ぎたと見る事は出来ないでしょうか?
   中には時の政府が車の通らない道路を造ったり、票稼ぎのために
ばら撒いたお金があった事も事実でしょう。
    これも言ってみれば自分達が選んだ先生方が良かれと思ってやった
結果ですから、誰の責任でもない国民自らの責任にならざるを得ない
と思うのです

 

  此の侭放って置けば止まるところのないこのサラ金まがいの700兆円
を何とかする方法はないものでしょうか?それは誰であろうと一国の宰
相に頑張って貰うしかないと思うのです。
   小泉総理はこの日本国の窮状を国民に訴え、この国政の癌の様な
700兆円があるから身動きが取れず、打つ手が打てない、ついては
これを何とか消し込むために小泉救国債券を発行したい。
内容は償還期限100年、金利ゼロ、但し両方とも見直しあり、相続
可能で相続税なし。と言ったものです。 
  小泉さんは憂国の士は是非買って下さいと心底訴えるのです。然し
一人当たり600万円と言うこんなもの売れるかと言う事になりますが
   一億円の福袋が売れる時代ですし、未だ金融資産も残ってる筈で
す。何と言っても救国のための国民の義務とも言うべきものですし、
特に50代以上の世代はこの700兆円先食いの恩恵を大きく受け
ている訳ですから責任は重大です。但し持たざる者に買えと言って
る訳ではありません。企業に持ってもらう案だってあり得ると思うのです。

「そう言うお前は買うのか?」 「国民の義務ですし、やがて負担ささ
れる借金ですから、今国に金を貸す位はしゃーないでしょう。」
どれだけ売れるか分かりませんが、まあ300兆でも500兆でも減らす
事が出来たら成功でしょう。

   今を時めく吉野家は昭和55年に一度倒産し更生法の下で再出
発しました。私の勤めていた会社もしっかり引っ掛りましたが、全体で
数百億円あった棚上げ債務は20年以上掛かりましたが全部返済
しています。行き詰まってからやるかどうかの違いはありますが、これ
と同じ事です。

   これである程度借金を減らすことが出来たとしましょうか。
  これ以上借金と言う癌の成長を止めるには、お金はあるだけしか
使わないと言う全くアホみたいな基本を守る必要があります。
   国の歳入45兆円、歳出64兆円ですから、出来るだけ歳入を増
やすために増税は止むを得ないでしょう。例えば消費税は15〜20
%とか、又歳出も思い切ってカットが必要です。議員の先生方やお
役人の数は半分くらいに減らし、給料も減らして貰う。公共事業は
ゼロ、医療費も削る。入るだけしか使わないと言う当たり前の事を
追求すると、こんな事になるでしょう。
竹中大臣は収支が合うのは(プライマリーバランスの均衡)2010年
代初めと言ってますが、そんなのは甘くて話にならないと思います。

    ここでの問題は国の財政規模が大きく縮小しますから、大不況にな
ること必定でしょう。これを食い止めるには先の救国債券を売ったお金
は700兆円を減らすために返しますから、再び国民の手元へ戻ってき
ます。(実際には郵貯、銀行等へ戻る。) これをドンドン使うように小
泉さんは頼みついでに国民に頼むのです。先の歳入45兆円、歳出
4兆円との差19兆円を埋めればいいわけですから、何百兆と帰って
きたお金でその分補うのは余り難しい事ではないと思うのです。そして
GDP(国民総生産)を今の規模より落とさず、むしろ押し上げるように
する事が必要でしょう。
    この暴論はこの仕組みが作れて、うまく稼動するかどうかが鍵です
が、何と言っても救国ですし、あるだけしか使わないと言う当たり前の
事をするだけですから、前提をうまく行く筈、否行かさねばならぬと
置いて掛かれば功を奏するのではと思うのです。
こうして先ず700兆円をへこました上で、無駄を極力省き、背伸び生
活から分相応の生活に戻る、然し一方では必要な民間需要や投資
は積極的に引き出す。その結果経済が活性化すれば税収も増える
しょうし、あるだけしか使わないと言う生活習慣も身につき、その先
の小泉債券の返済も始められるとのでは思うのです。
恐らく道路公団の45年よりは早く返せると思うのですが・・・。

 

以上ややこしい議論のように見えても要するに先食いしたものを返す
気があるのか、あるならどう言う方法でやるかと言う話でしかありません。

 

  「そんな馬鹿な事出来る訳ないやろ。故人曰く “この世で起こった
事はこの世で納まる” 行き詰まってから考えたらええやないか」

 

  罵声と嘲笑を背に受けながら私は再建論を夢見てこの世におさらば
することになると思います。あの世で夢から覚めたら“下界はパラシュート
マネーの雨だった” 
これだけは願い下げたいものです。

 

    気儘な暴論にお付き合い頂いた方に心から感謝致します。

                           以  上