０３．１０．２２

赭　土　の　人　　　　野　口　幹　夫

上野に２００３年の独立展、額田さんの作品を見てきました。

今年もアフリカとおぼしき世界がテーマです。沈んだダークブ

ラウンを基調として、題名の「赭土の人」たちの群像が描かれ

ています。

抱かれた赤ちゃん、幼い子供、少女といったように今回は

穏やかな印象の人たちが主役です。

彼らは深い自然の魂とともにあるようです。白い線画は神話

の世界に入り込んだ太陽のシンボルでしょうか。風車で示さ

れる文明の波はすぐそこまで押し寄せてはいますが、それより

も強いのは、ふとい根を張った植物や大トカゲ？それがおぼろ

にシンボルになるとともに、鶏冠をもった神話の世界の半人物

も共存しています。

いつまでも対話をしていたくなる絵でした。

昨年も書いたのですが、この絵も中心に半開きになった扉があり

ます。「赭土の人」たちはまるでこの扉を守ってでもいるよう

に座を占めているのですが、この扉の向こうにはなにが開けて

いるのでしょうか。