恐れるな

正義と平和協議会の黙想会

三月十九日〜二十日、鎌倉イエズス会にて正義と平和協議会の黙想会がありました。
指導はコロンバン会のカレン神父様でした。

神父様は今回の黙想会のテーマは、『私達の罪は、恐れることにある。』とされました。大胆なテーマでした。
確かに、イエス様は人々に「恐れるな」「恐れることはない」としばしば話されました。フランスの心理学者でカトリック信徒のフランソワーズ・ドルトもその著「欲望の世界」でイエスのメッセージの中心はそれであると語っています。

カレン神父様は自分達がしてしまう偽善的な行為が、実は自分の評判をおとす恐れや、集団に従わない恐れから出てくることを指摘して下さいました。そしてすべての恐れが常に自分を駆り立て、忙しく時を過ごさせ、大切なものが見えなくなってしまっている現代人の姿を示してくれました。

それを実感させるため、カレン神父様は黙想の形に、座禅を取り入れられました。禅宗のそれと同じものです。黙想会の始めと良く早朝の二回です。過去を思うではなく、またこれからの様々の予定を思いめぐらすことなく、ただ今現在の事を実感する。ベトナムの仏教僧Thich Nhat Hannh師がその著、LIVINNG BUDDAHA,LIVING CHRISTで、その境地こそ仏教徒が目指すものであり、聖霊に満たされたキリスト教徒も共感する筈のものと述べているものです。

静かになって神を知れ、静かになって神と一つになれ、あなたをあるがままで受け入れてくれている神があなたの中にいる。それに気付けば他人を見るあなたの目が変わる。他人ばかりでない、木や石もことばをもって語りかけてくるとカレン神父様は述べられました。

その対極にある騒わがしい生き方が、「組織」の中にあります。普段一日たり共、組織に無縁な生き方のできない私達ですが、それに身も心も支配されては、神の国には近付けません。さまざまな組織悪にさいなまれる私達です。私達はその例を身近なところに見い出して分かち合いました。学校、組合、会社などさまざまな醜い組織エゴが個人の自由な生き方を阻んでいることをしりました。意外なことに、ここで多くの実例ととしてあげられたのが教会の中にあるものでした。悲しいことですがリアルでした。

恐れるな、神の他には何も恐れることなく、『組織』エゴから自由になって、真の福音的な生き方を生きよう。私達がこの黙想会から得たものは大きいものでした。終りに捧げたミサの感動は、無類のものでした。輝くことのできる自分達、それこそ神が喜んで下さるもの、そんな神への感動から来るものでした。その機会を作って下さったカレン神父様と正義と平和協議会に感謝。

終りにこの黙想会で紹介された南アフリカの独立の父マンデラ大統領の就任演説の一節をここで再録したいと思います。

Our deepest fear
Is not that we are inadequate.
Our deepest fear is that we are
Powerful beyond measure.
It is our light, not our darkness That most frightens us.
We ask ourselves,
Who am I to be brilliant, Gorgeous, talented and fabulous?
Actually who are you not to be?
You are a child of God.
Your playing small doesn't serve the world.
There's nothing enlightened about shrinking.
So that other people
Won't feel insecure around you.
We were born to make manifest
The glory of God
That is within us;
That is in Everyone!
And as we let our own light shine,
We unconsciously give other people
Permission to do the same.
As we are liberated from our own fear,
Our presence automatically liberates others.

Nelson Mandela ( Inanaugural Speech)

私たちが一番恐れることは私たちの力が足りないということではありません。
最も恐るべきなのは、私たちが計り知れないカを持っていることなのです。
私たちを最もこわがらせるものは私たちの光りであって、暗闇ではありません。
私たちは自らに問いかけます。
こんなに素晴らしく、有能で、豪華な私とはいったい何者なのか、と。

だが実際はそんな存在ではないといっているあなたは何者なのですか。

あなたは神の子です。
小さな人間として振る舞うのでは世界に奉仕できません。
周囲の人々に不安を与えないようにと、
縮んでしまっては、なんの光にもなりません。

私たちは神の栄光を表すために生まれてきました、
私たちの内にあり、すべての人の内にある神の栄光を表すためです。
私たちが自分の栄光を輝かせるとき、
無意識の内に他の人々も輝くようにさせているのです。
私たちが自分の恐れから解放されるとき、
そのことだけで他の人々が解放される原因となっているのです。

マンデラ大統領就任漬説